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核廃絶 「理想でなく現実」 サーローさん・平岡さん対談

 カナダから広島市に帰郷している被爆者のサーロー節子さん(91)と元広島市長の平岡敬さん(95)=西区=が、中区の中国新聞社で対面し、5月に広島市で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)や被爆地広島の針路などについて思いを約2時間語り合った。

 長年にわたり核兵器廃絶を訴えてきた90代の2人は何十年ぶりかの再会。サーローさんは広島サミットで採択された核軍縮の共同文書「広島ビジョン」が核抑止を認める内容であることに触れ「広島の被爆者すべてのオピニオンだと世界から思われたら困る」と批判。「そうではないんだと私たちは否定していかなくてはいけない」と話した。

 平岡さんは、懸念通り「被爆地が核保有国と同盟国の結束をアピールする場にされた」と振り返り、「原爆で亡くなった人たちに代わり核兵器廃絶を誓うことが私たち生き残った者の責任」と応じた。2人は首脳らが「理想」だとする廃絶は「私たち市民にとっては現実」と話し、人間の側のリアリズムに立った政治を求めた。(森田裕美)

(2023年7月31日朝刊掲載)

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