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8・6 今伝えたいメッセージ 被爆78年 広島の各局が特番 継承・葛藤…G7サミット経て

 被爆78年の8月6日が巡りくる。広島県内のテレビ各局はさまざまな特別番組を放送する。5月に広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)を経て、被爆地のメディアとして、どのようなメッセージを発信するか。その姿勢も問われている。(渡辺敬子)

 中国放送は8月6日午前10時39分から、「少女たちの公式~遠き人へのメッセージ」を放送する。市立第一高等女学校(市女、現舟入高)の慰霊碑には、原爆製造に応用された相対性理論の公式が刻まれている。同校出身の河村綾奈アナウンサーが卒業生たちを訪ね、「記憶の継承と記憶からの警鐘」を考える。ラジオ番組として編集した「少女たちの公式~声なき声を訪ねて」も6日午後1時から放送する。

 また、6日午前1時28分から、アニメ映画「はだしのゲン」を放送する。

 テレビ新広島は「アイ アム アトミックボム サバイバー~小倉桂子が伝え続ける理由」を6日午後2時から放送する。被爆者の高齢化が進む中、自らの残された時間とどう向き合うか。英語で被爆体験を語り続ける小倉さんが、核兵器保有3カ国を含むG7首脳への証言という重責を引き受けた葛藤と覚悟に迫る。ナレーションは岡田将生。

 広島ホームテレビのテレメンタリー2023「踏まれても踏まれても~ゲンと子どもたちの半世紀(仮)」は19日午前10時45分から。故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」は週刊少年ジャンプ連載開始50年となる今年、市教委の教材から削除された。議論の対象となりながら読み継がれる作品を教育現場や妻ミサヨさんへの取材から探る。ナレーションは上白石萌音。

 広島テレビは6日午前7時半から、報道特別番組「シューイチ×つなぐヒロシマ」を放送する。G7サミットは被爆地にどのような変化をもたらしたのか。長島清隆、馬場のぶえの両アナウンサーが、ジャーナリスト池上彰さんと共に伝える。

 NHK広島放送局が手がけたNHKスペシャル「原子爆弾・秘録~謎の商人とウラン争奪戦」は6日午後9時から。広島・長崎に投下された原爆に使われたウランは、コンゴ(旧ザイール)のシンコロブエ鉱山で産出された。鉱山の歴史を新資料からひもとき、核の力を求める国家の思惑を描く。

 NHKラジオ第1では6日午後10時5分から、「ヒロシマを継ぐ~若き伝承者の思い」を放送。34歳の被爆体験伝承者、沖本春樹さんを広島放送局の志賀隼哉アナウンサーが取材した。

これまでの番組 5局が共同上映

原爆資料館で来月

 広島県内のテレビ局が制作した原爆に関する番組を共同で上映する「テレビが記録したヒロシマ」が8月16~20日、広島市中区の原爆資料館東館地下1階のメモリアルホールである。

 NHK広島放送局、中国放送、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島の5局が参加。特番のほか英語字幕付きの番組、短編アニメーションなど計21本を上映する。午前10時から午後6時まで。無料。

 NHKが開発した、仮想現実(VR)技術を使って原爆ドーム内部の見学を疑似体験できるコーナーも設ける。

(2023年7月29日朝刊掲載)

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