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核軍縮・不拡散進展を ウィーン NPT準備委開幕

 2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会が31日、オーストリア・ウィーンのウィーン国際センターで開幕した。加盟約190カ国・地域の政府代表たちが11日まで議論し、核軍縮・不拡散の進展を図る。日本の武井俊輔外務副大臣は一般討論で「NPT体制の維持・強化は国際社会全体の利益だ」と訴えた。(ウィーン発 宮野史康)

 準備委は冒頭、フィンランドのヤルモ・ビーナネン大使を議長に選出。武井氏は一般討論の1人目で演説した。

 国際社会の分断の深まりやロシアによる「核の威嚇」を挙げ「核兵器のない世界への道のりが一層厳しくなっている」と指摘。5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の核軍縮文書「広島ビジョン」を「核兵器のない世界の実現に向けた強固な土台」とし、核兵器保有国へ核戦力の透明性向上を求めた。

 また、東京電力福島第1原発の処理水放出計画に言及。「安全に万全を期す」と強調した。

 一方、米国の代表は新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止などを列挙して、ロシアを非難した。

 準備委は、非政府組織(NGO)の意見表明を挟んで一般討論を2日まで続ける。その後、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用の議論を経て、論点を網羅した議長総括をまとめる。

 NPT再検討会議は15、22年と立て続けに決裂した。ウクライナに侵攻し核兵器使用を示唆する核超大国ロシアと米欧の対立や、核兵器禁止条約を巡る保有国と非保有国の溝が深まる中、NPT体制を立て直し、核軍縮の糸口を見いだせるかが焦点となる。

(2023年8月1日朝刊掲載)

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