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北東アジアに「非核の傘」を 国際議連設立1年で原口一博共同代表

 立憲民主党などの議員有志が、北東アジアで核兵器の製造や取得を禁じる「非核兵器地帯」を実現する国際議員連盟を昨年8月に設立して1年になる。共同代表の原口一博元総務相は、広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)での議論を念頭に「核抑止という核の傘ではなく、非核の傘である非核兵器地帯を広げるべきだ」と主張する。

 広島サミットの共同文書「広島ビジョン」は核抑止を事実上肯定した。核兵器でけん制し合う点を、原口氏は「核保有国の誤解やコミュニケーション不足で使用される可能性がある」と指摘。核兵器を使わないと規定する非核兵器地帯を「核廃絶への現実的なアプローチだ」と言い切る。

 サミット議長の岸田文雄首相に対しては「核があれば惨禍が再び起こり得ると、広島の地で言うべきだった」との思いを強めている。

 議連は昨年8月8日に設立。ことし5月の韓国での会議では、立憲民主党とれいわ新選組の計4人と、韓国側から最大野党「共に民主党」などの6人が非核兵器地帯設置の条約案を議論した。今後は米国でも会議を予定。賛同者を増やし各国での条約批准を目指す。

 原口氏は1月に悪性リンパ腫と診断されたが、6月には国会で岸田首相への質問に立った。議連1年の節目を前に「助けてくれた多くの人、そして日本を守るためにも非核の取り組みを進めていく」と話した。(山本庸平)

非核兵器地帯 特定の地域内での核兵器の製造や保有、配備などを禁じ、核兵器保有国はその地域に対して使用や威嚇をしないと定める。東南アジアや中央アジア、中南米、南太平洋、アフリカなどで条約化されている。

(2023年8月1日朝刊掲載)

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