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丸木美術館、改修工事へ 25年夏閉館 27年再開目指す

 埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」は、被爆の惨状などを伝える作品を地震や劣化から守るため改修工事をする。被爆80年の2025年夏をもって一時閉館。「原爆の図」などを描いた丸木位里、俊夫妻の生前の思いも伝わるレイアウトにするという。27年5月の再開を目指す。

 1967年、原爆の図を飾る目的で夫妻の自宅隣に開館。当初は平屋約400平方メートルで、新たな作品の展示場所が必要になると70~91年に4回増改築。2階建て約1200平方メートルに拡大した。

 同館の岡村幸宣専務理事は「大きい展示室ができると大きい作品を描いた。改築と制作が一体化していた」と解説する。

 全15部の原爆の図は全て縦1・8メートル、横7・2メートルだが、アウシュビッツの図(77年)のような縦3・4メートル、横16・1メートルの大作も誕生した。

 大改修は5回目。俊さんは生前、改修について「つぎはぎは好きよ。古いものをそのままにして継ぎ足すから、かえって大変だったりして」と話していた。

 今回の改修構想は17年に浮上。耐震化や断熱・密閉性の向上などが課題で、今秋にもイメージを固める。「画家の思いが建築からも読み取れるリニューアルにしたい」と岡村専務理事。過去の増改築の名残を、来館者に見てもらう姿を描く。改修のための基金への協力を呼びかけている。(山本庸平)

(2023年8月1日朝刊掲載)

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