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[NPT準備委] 原発巡る対立が再燃 露「自国の施設」/ウクライナ反論

 2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けてオーストリア・ウィーンで開かれている第1回準備委員会で、昨年の再検討会議が決裂する要因になったウクライナ南部ザポロジエ原発を巡る対立が再燃した。不測の事態が懸念される中、各国から批判を浴びたロシアが「自国の施設」などと主張。ウクライナが激しく反論した。(ウィーン発 宮野史康)

 2日の一般討論で、ロシアの代表は「ザポロジエ州はロシアの領土であり、原発はロシアの施設だ」と反発。原発で起きた戦闘を念頭に「危険にさらしているのはウクライナだ」とした。

 これに対しウクライナの代表が即座に「ロシアは施設への直接的な攻撃で原発を占拠したと確認したい」と切り返した。「ロシアの主張は信頼性のある証拠に基づいていない」と断じ、原発からの完全な撤退を求めた。

 ザポロジエ原発は欧州最大で、ロシアが占拠している。昨年の再検討会議は、最終文書案にあった管理をウクライナに戻すよう促す記述にロシアが反対し、決裂した。

 準備委は2日で一般討論を終え、核軍縮の討議に入った。核兵器禁止条約の加盟国を代表して3日に演説したメキシコは、NPT3本柱の強化に貢献するとした上で「禁止条約は核軍備競争を防ぎ、核軍縮を達成するために必要で効果的な手段だ」と訴えた。日本は、核兵器使用の実態を伝える取り組みの強化を指摘した一方、禁止条約には言及しなかった。

(2023年8月4日朝刊掲載)

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