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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 被爆者の言葉のチカラ

 入社して初めての8月6日が近づき、取材で被爆証言を聞く機会が増えた。原爆の悲惨さ、平和の大切さをかみしめるとともに、被爆者の戦後の「生きざま」に私自身が勇気づけられている気がしている。

 後遺症や偏見と闘い、使命感を持ち証言活動に取り組む被爆者がいる。学生時代、被爆者と面会した高校生を追ったドキュメンタリー映像を見た。家庭環境が複雑で、学校が遠のいた高校生が被爆者の姿をどこかで自らと重ね合わせ、前を向く内容だったと記憶している。

 今、人とのつながりや性的少数者への無理解などで悩む人が大勢いる。混乱期を懸命に生き抜いた被爆者の言葉は、生きづらさを抱える人の背中を押してくれるチカラがあるのではないか。私はそう思う。 (報道センター社会担当・頼金育美)

(2023年8月4日朝刊掲載)

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