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[NPT準備委] 若者向けウェブ中継 廿日市出身の倉光さん

 国連機関で研修している廿日市市出身の倉光静都香さん(26)が、オーストリア・ウィーンで核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会を傍聴し、ウェブで発信している。若い世代に向けて「NPTを身近に感じてもらいたい」と駆け回っている。(ウィーン発 宮野史康)

 3日は準備委会場の一角からウェブ中継した。政府代表の発言時に会場内のスクリーンに映るタイマーの写真を画面に表示し「加盟する約190カ国にそれぞれ言いたいことがある。発言時間の管理は議長の大切な役割」などと伝えた。

 被爆者団体や非政府組織(NGO)でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」の一員として、準備委が開幕した7月31日から傍聴し、連絡会が日本時間午後7時から毎日配信する動画中継に加わる。難解な会議にあって、柔らかい話題を織り交ぜるよう工夫する。各国の若者に取材し、核兵器廃絶への取り組みもブログで紹介する。

 広島女学院高(中区)在学中に「被爆地の願いは地球益になる」と感じ、米国に留学。ことし5月、核などの不拡散の研究で知られるミドルベリー国際大学院モントレー校を修了した。スイス・ジュネーブの国連軍縮研究所(UNIDIR)での研修では、生物兵器禁止条約の加盟国がどんな国内法を整備しているか、調べている。

 昨年初めてNPT再検討会議を傍聴。決裂し、落胆する外交官たちを見て、「核軍縮は長いマラソン」と実感した。

 研修は今月末で一区切りを迎えるが、軍縮・不拡散に関わり続けたいという。「敷居が高いと思わず、いろんな人がそれぞれのやり方で活動に加わってほしい」と望む。

(2023年8月5日朝刊掲載)

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