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終戦前日の空襲 紙芝居に 柳井の大道芸人・三島さん あす披露 犠牲の祖父 最期を想像

 柳井市議で大道芸人の三島好雄さん(66)=同市神代=が、1945年8月14日の光海軍工廠(こうしょう)(光市)の空襲で犠牲になった祖父の紙芝居を作った。終戦前日に命を奪われ、かなわなかった幸せな未来を描いた。6日に柳井市内で開かれる平和を祈る行事で披露する。(山本祐司)

 12枚の作品は「天国の一日」と題し、約20分で演じる。祖父の浜田源次郎さんは41歳の時、勤労動員された光海軍工廠で亡くなった。母の故トモエさんから断片的にしか聞いていない最期を想像し、創作した。

 紙芝居では空襲当日の朝、家族と別れて工場に着いた祖父が、米軍の爆撃機が雨のように爆弾を落とす中、逃げ惑う様子を鮮烈に表す。戦後、夫を失った祖母シモさんは1人で子育てをして天寿を全うする。他界した2人は再び出会い、赤い糸で結ばれるというストーリーに仕立てた。

 「(翌日に終戦を迎え)たった1日の違いで生死が分かれた。はがゆい」。三島さんは犠牲者一人一人にそれぞれ人生があったことを刻もうと今年春、絵筆を取った。同じく光海軍工廠で14歳の時に空襲を経験した名誉市民の藤麻功さん(昨年91歳で死去)から聞いた証言も思い出し、紙芝居を完成させた。

 祖父は自分と同じく演芸が好きだったという。だからこそ幸せな結末にして、生きる喜びが湧くような展開にした。「悲しさだけでなく、前向きになれるメッセージを込めた」

 6日午前10時から市文化福祉会館である「やない平和を語る会」の行事で上演する。他に市内の被爆者の浅海頼子さん(94)が講演する。語る会の久保優子代表☎090(1680)2753。

(2023年8月5日朝刊掲載)

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