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[サミットを終えた夏] 40人で総力取材 ペンで刻む平和 崇徳高新聞部が「特集号」

地元ならでは 舞台裏や張り込みも

 崇徳高(広島市西区)新聞部が、5月に市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)の特集号を作った。国内外のメディアに交じり、部員約40人が取材。足で稼ぎ、ペンで刻んだ平和への思いあふれる紙面を6日に全校生徒へ届ける。(太田香)

 B4判カラー16ページ。地元の一大外交行事を若い感性でさまざまに切り取っている。特に地元ならではの「舞台裏」を垣間見られる記事を連発。中区の百貨店周辺でイタリアのメローニ首相に遭遇した際は一部始終をルポし「会釈され感動」の見出しで載せた。

 主会場のホテルがあった南区元宇品町に住む3年杉田晴哉さん(18)は、地の利を生かし「張り込み取材」を決行した。厳戒態勢の中、米国のバイデン大統領が乗った車列を激写し「高校生活の中で一番緊張した。自分しか撮れないスクープがうれしい」とはにかむ。

 サミット初の被爆地開催の意義も検証した。カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(91)を取材した3年坂田勇太さん(17)は、首脳声明に対する「胸がつぶれるよう。死者への侮辱だ」との言葉を紹介した。「取材の最後に交わした握手が重かった。受け取ったものを次の世代につなげたい」と意気込む。

 会期中に休校した市内の高校に関する調査報道や在校生へのアンケートのほか、海外メディアや市民団体にもインタビューした。「いろんな人たちの声を大事にした。面白くまとめられた」と部長の3年川畑悠成さん(17)は自信をみせる。

 最終面には「部説」と題した解説を掲載している。核兵器廃絶へ「芳名録にメッセージを書くことは簡単だ」と訴え、こう締めくくる。「わたしたちは行動し続ける」

(2023年8月5日朝刊掲載)

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