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「原爆、市民を大量殺傷」 映画「オッペンハイマー」巡る討論会 サーローさん 被爆体験証言

 カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(91)が4日、原爆開発を率いた物理学者の伝記映画「オッペンハイマー」の米封切りを受けたウェブ討論会に登壇した。一時帰国中の広島市内から原爆被害の非人道性を訴えた。

 映画は、オッペンハイマーが原爆被害を知って苦悩する姿や戦後の不遇な人生を描き米国で共感を集めている一方、被害実態を伝えるシーンがないとの批判も目立つという。日本では未公開だがサーローさんは「映画が触れない事実を世界に知らせたい」と参加した。

 13歳の時に広島駅近くで被爆して級友や肉親を失った体験を証言。「開発されたばかりのごく小さな一発が、市民という非戦闘員を無差別に大量殺傷した」と強調し「核兵器を使えば何が起こるのか、想像力を働かせて」と世界各地の視聴者約400人に訴えた。

 原爆開発に関与しながら戦後は核軍拡競争を懸念したオッペンハイマー、アインシュタインらが創設に関わり、核戦争による人類滅亡までの時間を「終末時計」として毎年発表している「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」などの主催。コロンビアの元大統領とシカゴ大の物理学者も登壇した。(金崎由美)

(2023年8月5日朝刊掲載)

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