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南米被爆者の資料を展示 広島県医師会館であすから 苦難の歴史伝える

 広島県医師会(広島市東区)と広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、南区)は6日、南米に住む被爆者の記録資料の常設展示を東区の県医師会館で始める。県医師会が今春受け継いだブラジル被爆者平和協会(2020年末に解散)の調査書などで、健康不安を抱えながら母国の支援を訴えた苦難の歴史を伝える。

 会館1階の被爆伝承コーナーで、平和協会の前身団体が1988年にブラジルなど南米5カ国の被爆者約200人を実態調査した記録の原本など6点を公開する。被爆者へのアンケートの自由記述には「なぜ日本の被爆者と同等の援護を受けられないのか」「日本のいい薬、いい病院で療養したい」などと悲痛な訴えがつづられている。

 資料を解析している原医研の久保田明子助教は「胸にしまった思いを初めて聞いてもらえた喜びや支援が不十分なことへの怒り、将来の不安が垣間見える」と説明する。

 在外被爆者の健康相談を担ってきた県医師会はことし4月、被爆者名簿など段ボール6箱分、約60種類に及ぶ平和協会の資料を引き継いだ。南米の被爆者の実態調査の際、参考にしたとみられる北米の被爆者の調査書も含まれており、同時に展示する。

 県医師会の松村誠会長は「いばらの道を歩んできた在外被爆者の苦悩や歴史を後世に伝えたい」と話している。展示は土日祝日を除く午前9時~午後5時。6日は午後2~5時に特別に開く。(平田智士)

(2023年8月5日朝刊掲載)

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