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[サミットを終えた夏] 舟入高生2人 特別な夏 国際会議に参加 織田さんと出野さん

「自分にも」議論身近に

 きっと世界は変えられる―。広島市中区の舟入高3年、織田未来さん(17)=呉市=と出野日葵(ひまり)さん(17)=安佐南区=は、そんな思いとともに原爆の日を迎える。5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)と、開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会。外交の現場に立て続けに触れ、「核兵器なき世界」への議論を身近に感じている。(ウィーン発 宮野史康)

 「私たちはG7首脳にスコップを渡しました」。準備委に合わせて今月1日にオーストリア・ウィーンであった交流行事で、2人は各国の若者たちに、こう紹介。5月19日、平和記念公園(中区)でG7首脳の記念植樹に立ち会った。

 普段から外国人観光客の案内で訪れる公園の張り詰めた雰囲気に「現実じゃない気分だった」と織田さん。英国のスナク首相にスコップを渡すと「サンキュー」と優しく応じてくれたという。米国のバイデン大統領を担当した出野さんは「首脳たちが広島を訪れて議論したのは核廃絶への一歩」と期待を高めた。

 続いて、広島県内の高校生代表として平和首長会議(会長・松井一実市長)の派遣で訪れたウィーンでは、準備委を傍聴し、核兵器を巡る各国政府の議論をじかに聞いた。交流行事では、舟入高の前身の市立第一高等女学校(市女)の多くの先輩たちが学徒動員されて犠牲になった惨禍を伝えた。

 企業活動を通じた平和貢献について学ぶため、米国の大学への進学を目指す織田さんは「語学だけでなく、専門分野が必要だと思った」と刺激を受けた様子だった。出野さんも「世の中を良くするため、自分にも何かできるかな」。サミットを含む「外交」の経験が、次代を切り開く若者たちを育てている。

(2023年8月5日朝刊掲載)

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