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[サミットを終えた夏] 「無念の犠牲 二度と」 韓国同胞庁トップ 慰霊祭初参列

 韓国人原爆犠牲者慰霊祭が5日、広島市中区の平和記念公園で営まれ、韓国政府から在外同胞庁トップの李基哲(イ・ギチョル)氏が初めて参列した。日本の植民地下で海を渡り原爆の惨禍に遭った人たちに思いを寄せ、「二度と無念の犠牲になる同胞がいないようにする」と誓った。(小林可奈)

 慰霊祭は在日本大韓民国民団(民団)広島県地方本部が韓国人原爆犠牲者慰霊碑の前で催し、在日韓国人被爆者や2世たち約200人が参列。この1年間に同本部へ死亡届があった被爆者8人を書き加えた13冊計2810人の死没者名簿を奉納し、黙とうした。

 李氏はあいさつで78年前の原爆投下を描写し「この世で例えようのない無念の死を心の底より哀悼する」と同胞たちを弔った。在日韓国人被爆者たちの苦しみにも言及。「祖国は差別と苦痛を耐え抜いた原爆被害同胞たちの痛みを分かち合う」といたわった。

 韓国からは5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に招かれた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が現職として初めて慰霊碑を訪問。慰霊祭への李氏の派遣につながった。参列した被爆者の権養伯(クォン・ヤンベク)さん(79)=東広島市=は「胸に迫るものがあった。感無量だ」と語った。

(2023年8月6日朝刊掲載)

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