×

ニュース

被爆の実態継承 命ある限り 山口のゆだ苑で追悼式

 米軍による広島への原爆投下から78年となった6日、山口市元町の県原爆被爆者支援センターゆだ苑で追悼式があった。被爆者たち約20人が参列し、犠牲者の冥福を祈り、核兵器廃絶への思いを新たにした。

 参列者は献花台に花を手向け、原爆が投下された午前8時15分に黙とうした。八代拓理事長は「78年前、この社会に与えた傷痕は今も存在しており、その傷痕に心を寄せてほしい」とあいさつ。岸田文雄首相が昨年公表した、核戦力の透明性向上などを柱とする「ヒロシマ・アクション・プラン」を政府が推し進めるよう期待した。

 軍人の原爆犠牲者の遺骨が発掘された同市江良の原爆死没者之碑も訪れ、手を合わせた。1歳の時に広島の爆心地から1・5キロの自宅で被爆した永野和代さん(79)=同市矢原=は、60歳を機に高齢被爆者の支援や非政府組織(NGO)ピースボートの船旅に参加。現在は市内の小学生たちに講話をしている。「若者に自分ごととして原爆の悲惨さを感じてもらえるよう力を注ぐ」と誓った。

 県内で被爆者健康手帳を持つ人は3月末時点で1678人。昨年同期より172人減り、平均年齢は86・11歳となった。(山下美波)

(2023年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ