×

ニュース

広島原爆の日 県北で追悼 庄原で慰霊祭 核廃絶訴え 三次・安芸高田でも平和求め集い

 広島原爆の日の6日、県北各地で原爆犠牲者の追悼行事が営まれた。家族や親族を亡くした人たちや、地域の住民たちは核兵器の非人道性を胸に刻み、平和への思いを新たにした。(菊池諒、加茂孝之、胡子洋)

 庄原市の山内地区社会福祉協議会は、原爆投下直後に広島陸軍病院庄原分院の臨時病棟が置かれた同市山内町で原爆犠牲者慰霊祭を催した。病棟となった山内西国民学校(現山内小)近くに立つ碑の前に遺族と住民約50人が参列し、この地で亡くなった88人を悼んだ。

 同協議会の三橋豊会長(75)はあいさつで「山内から核兵器の廃絶を訴えていく」と誓った。祖父原三郎さん=当時(42)=が8月9日に同病棟で亡くなったという東京都立川市のパート池上美奈子さん(61)は「78年たっても山内の皆さんが慰霊祭を開いてくれて、ありがたい」と感謝した。

 三次市の神杉地区自治会連合会は、高杉町の神杉コミュニティセンター近くの慰霊碑前で、平和と戦没者慰霊のつどいを開き、児童や遺族たち約40人が集った。

 旧陸軍西部第二部隊に所属していた父豊秋さんが、被爆約1カ月後に亡くなったという同地区遺族会の小田義則会長(80)は「戦争の悲惨さを知るわれわれが世界の恒久平和を願い求め続けることを約束する」と誓った。

 神杉小6年相川あんさん(11)は「相手の気持ちを理解することが平和への第一歩。相手の気持ちを聞けるように勉強していく」と話した。

 式典前には、元広島平和文化センター理事長のスティーブン・リーパーさん(75)が「原爆の恐ろしさから平和文化へ」と題して講演した。

 安芸高田市高宮町の川根地区では、戦没者慰霊碑前での平和の祈りの会で川根小児童や住民たち約30人が手を合わせた。

 午前8時15分に黙とうし、地区住民90人の名前を刻む慰霊碑に線香を手向けた。地区に暮らす高宮原爆被爆者の会の亀井和則会長(79)は原爆投下の3日後、兵隊だった父を捜すため母や伯父に背負われて入市被爆した。「会員の高齢化が進む。児童に思いをつないでいければ」と願った。

 この日夜、児童や住民は再び同小に寄り、平和の灯の集いを催した。児童は合唱を披露し、平和アピールを読み上げた。

(2023年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ