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サミット後 世界注視 最多111ヵ国・EU代表参列 核保有巡る認識に隔たり

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった平和記念式典に過去最多の111カ国と欧州連合(EU)代表が出席した。5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で被爆地への注目が高まったためとみられる。一方、ロシアが核兵器使用をほのめかすなど国際情勢が緊迫する中、核保有を巡る各国の認識の違いも浮き彫りとなった。(編集委員・東海右佐衛門直柄、頼金育美)

 駐日大使たちは被爆地訪問で得た実感を語った。ブラジルのオタビオ・コルテス大使は「世界平和を熟考する場となった」。コスタリカのウィリアム・カルボ公使参事官・総領事は「悲しみと希望を感じ、同じ歴史を繰り返してはならないと思った」とした。

 核兵器への依存を巡る意見はさまざまだ。

 安全保障を米国の「核の傘」に頼るオーストラリアのジャスティン・ヘイハースト大使は「核兵器は廃絶すべきだと思うが、現実可能で効果的な道筋が要る」とし、核拡散防止条約(NPT)体制の下で核軍縮を漸次進めるべきだとした。一方、かつて核実験が繰り返されたマーシャル諸島のアレキサンダー・カーター・ビング大使は「一部の国は核戦争をしないため核兵器を保有するというが、廃絶こそが一番の解決策」と訴えた。

 式典には核保有国のうち米国、英国、フランス、インド、イスラエルの5カ国の代表が出席。ロシアは招待されなかった。米国のエマニュエル大使は式典前に「私たちは皆、過去の悲劇を忘れてはならない」とコメントを発表した。

(2023年8月7日朝刊掲載)

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