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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 高校生記者がまぶしくて

 足で稼ぎ、ペンに思いを込める姿勢に、記者としての基本技を思い出した。

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)を総力取材し、原爆の日に全校生徒へ特集号を配った崇徳高(広島市西区)の新聞部。制服に腕章姿の記者たちが刻んだ紙面は、プロ顔負けの仕上がりだった。被爆地での歴史的な瞬間を伝えたいとの熱意にあふれる。中には、サミットが試験期間と重なり、空き時間に取材現場で勉強したというこぼれ話も。高校生らしさが垣間見え、ほほ笑ましかった。

 私も人に会い、その体験や言葉を伝えたいと記者を志した。だが、手際良く取材するすべを仕事として覚えるうちに、初心から遠ざかっていたように思う。新聞づくりに高校生活を懸ける彼らがまぶしい。 (報道センター社会担当・太田香)

(2023年8月8日朝刊掲載)

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