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[NPT準備委] 非核の願い ウィーンでも 原爆の日集会 地元団体設立の市村さん参加 40年ぶり 草の根続く

 2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会が開かれているオーストリア・ウィーンで、地元の反核団体「ヒロシマ・グループ」が6日夕、原爆の日の集会を開いた。1981年にグループを設立した市村由喜子さん(72)=東京=が約40年ぶりに参加。草の根で続く活動を喜び、核兵器廃絶を願った。(ウィーン発 宮野史康)

 中心部のシュテファン大聖堂の前であり、約200人が集まった。ギター演奏や歌の合間に、参加者がマイクを握った。

 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)オーストリアのクラウス・レノルドナー代表は「放射能の影響に医療は対応できない。核戦争を防がなくてはいけない」。核兵器禁止条約を推進するオーストリア外務省の軍縮部門のリオバ・バマー氏は「核兵器使用を防ぐためには核抑止の強化ではなく、禁止条約の道を選ぶしかない」と訴えた。

 グループは欧州で反核運動が強まった81年に発足。ウィーン大に留学していた市村さんが通訳として出会った被爆者の体験に衝撃を受け、オーストリアの市民に被爆の惨禍を伝えようと、友人に声をかけた。映画の上映などを通じて反核運動を広げたという。

 原爆の日の集会は83年に開始。市村さんが帰国後もグループがほぼ毎年開いてきた。この日、約40年ぶりにウィーンを訪ねて参加した市村さんは「草の根の活動がこれだけの間続いていた。平和を求める気持ちは当時のまま。核兵器を使わせない一つの力になっている」と感動していた。

(2023年8月8日朝刊掲載)

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