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[NPT準備委] 豪原潜配備計画巡り紛糾 核拡散の恐れ指摘も

 オーストリア・ウィーンで開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会がオーストラリアによる原子力潜水艦の配備計画を巡り紛糾した。現在は核兵器保有国しか所有しておらず、核拡散の恐れが指摘される中、中国からは「パンドラの箱を開ける」との批判が出た。(ウィーン発 宮野史康)

 核不拡散に関する7日の討議で、オーストラリアは、米英との安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じて2030年代に原子力潜水艦を導入する計画について「最も厳格な核不拡散の基準に従う」と強調。米国も「国際原子力機関(IAEA)と歩調を合わせる」と擁護した。

 一方、中国は「核不拡散への大きな挑戦」「朝鮮半島とイラン核問題の政治、外交的な解決に重い負の影響を及ぼす」などと非難。イランはNPT違反ではないとしつつ「東アジアと太平洋での破滅的な核軍拡競争が見込まれる」と指摘した。これらの主張に、オーストラリアは「政治問題にしようとしている。核兵器を持つ意図はない」と反論した。

 原潜を巡っては、ブラジルも保有計画を説明。「推進用原子炉は攻撃機能を持たない」とした。

 準備委は7日で核不拡散に関する討議を終了。ロシアによるベラルーシへの戦術核兵器の配備について、米国は言及しなかった。オーストリアは「すでに深刻な核危機を悪化させる。NPTの趣旨と目的に明確に反している」と批判した。

(2023年8月9日朝刊掲載)

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