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核抑止論 改めて肯定 官房長官 日米安保「全幅の信頼」

 松野博一官房長官は8日の記者会見で「米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて、日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いている」と述べ、核抑止論を肯定する日本政府の見解を改めて示した。

 広島市の松井一実市長は6日の平和宣言で、核抑止論からの脱却を説いていた。この受け止めを問われた松野氏は、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮などを念頭に「現実にわが国に対する安全保障上の脅威が存在する」と指摘。日本政府が米国の「核の傘」に依存する日米安保条約を引き合いに「核抑止力を含む米国の拡大抑止が不可欠」との考えを示した。

 岸田文雄首相が掲げる「核兵器のない世界」の実現に向け「現実を理想に近づけていくべく取り組む必要がある」と強調。「今後とも現実の安全保障の脅威に適切に対処しながら、核兵器のない世界に向けて現実的で実践的な取り組みを継続、強化していく考えだ」と述べた。(中川雅晴)

(2023年8月9日朝刊掲載)

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