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硫黄島に散った若者 知って 江田島の熊倉さん 士官足跡を冊子に 墓石刻印から調査 写真交え紹介

 旧海軍兵学校(江田島市江田島町)を卒業して硫黄島付近で戦死した、江田島市大柿町大君地区出身の佐伯照雄さん(1923~45年)の足跡を伝えようと、大君の歴史を啓発する会会長で同地区在住の熊倉正造さん(78)が記録を冊子にまとめた。無念の死を遂げた若者の姿を知り、反戦への思いを新たにしてほしいとの願いを込めた。(楠信一)

 B5判カラーで42ページ。小学校卒業時などの写真をふんだんに交え、佐伯さんの歩みを紹介している。近く500冊を刷り、500円で販売する予定だ。

 元海上自衛隊員の熊倉さんは約3年前、佐伯家の墓石に「小笠原諸島方面にて戦死す故海軍飛行大尉佐伯照雄」とあるのを見つけ調査を始めた。「刻まれた文字に、建立した父親の何もしてやれなかった無念を感じた」と振り返る。

 海自第1術科学校教育参考館(江田島町)にある、海軍兵学校出身英霊銘牌の72期卒業生に名前を確認。「硫黄島爆撃行の際戦死」とする記録も保管されていた。

 佐伯さんは大君尋常小から旧制修道中(広島市中区)に進学し、40年に海軍兵学校に入学。45年2月19日、飛行隊指揮官として硫黄島方面の敵艦攻撃に出撃し、21歳で戦死した。

 今年は生まれて100年に当たる。熊倉さんは「存命なら戦後の大君に大きな功績を残したと思われ、惜しまれる」と話す。熊倉さん☎090(4653)9554。

(2023年8月9日朝刊掲載)

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