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オーカス 平和に寄与か 東広島市・武田高と豪提携校 国際政治テーマ 英語討論

 オーストラリアと米国、英国の3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」は、平和に寄与するのか―。国際政治の最新動向を巡るテーマについて英語で討論するユニークな授業が、東広島市の武田高であった。事前学習を重ねた3年生約30人と、オーストラリアの提携校ヒルズ・グラマー・スクール(HGS)から来日している14~17歳の約20人が参加した。

 2021年に創設されたAUKUSは、海洋進出を強める中国に対抗するのが狙い。米英の技術協力で原子力潜水艦をオーストラリアで建造、配備する計画を柱とする。授業ではまず、両校の生徒代表がパネリストとなり、日本、オーストラリア、中国、米国の各政府の立場を述べて議論のきっかけとした。

 オーストラリア役を担ったのはHGSの生徒で、「インド太平洋地域で中国の軍事的脅威は高まっている」とAUKUSの意義を強調。日本役と米国役を担った武田高の生徒も「地域の安定に役立つ」「原潜は核エネルギーを使うが核武装ではない」などと支持する考えを表明した。一方、中国役を担ったHGSの生徒は「中国にオーストラリアを攻撃する意思はない。かつての『対共産主義』紛争を繰り返すのか」と反論した。

 参加者は続いて六つのグループに分かれ、AUKUSが平和に寄与する点、逆効果となる点を書き出し、班ごとに一定の合意を導いて発表した。「もっと平和的な手法がある」などと、否定的にみる意見が多くを占める結果となった。

 武田高が特色としている「平和学」の授業。米国出身のアシュリ・サウザー教諭(48)は「HGSの生徒は母国で関連ニュースにたくさん触れており、討論に迫力があった。こちらの生徒は圧倒されつつも刺激になったはず」。日本役を担ったパネリストの一人、大田彩愛(さえ)さん(17)は「平和に関するテーマで自分の意見を持ち、言葉にする大切さを感じた」と話していた。(道面雅量)

(2023年8月15日朝刊掲載)

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