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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 青と黄 故郷思い伝う涙

 新聞やテレビで「ウクライナ」の言葉を見聞きするたび彼女たちの顔を思い浮かべる。

 出会ったのは1月末。ウクライナから広島市への避難者が日本語を学んでいると聞いて取材した。子ども2人を持つ母親と、母娘。3人とも、こちらの質問に明るく、気さくに応じてくれた。

 ただ、表情が一変した時があった。記念撮影で青と黄のウクライナ国旗を手にした場面で、涙が静かに頰を伝った。破壊され続ける故郷を思い、胸が苦しくなったという。家族も国内にとどまる。私も胸を締め付けられる思いになった。

 なおも生きる希望を失わない彼女たちを、支えたい。きょうは「終戦の日」。この瞬間も、終戦から遠い地が世界にはいくつもある。(ヒロシマ平和メディアセンター・新山京子)

(2023年8月15日朝刊掲載)

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