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旧呉海軍工廠の工場跡調査 市、海保大学校内でコンクリート柱など発掘 「重要な歴史の痕跡」26日説明会

 呉市は、同市若葉町の海上保安大学校内で、旧呉海軍工廠(こうしょう)の火工品機械工場跡の発掘調査を進めている。同大学校の新寮の建築に伴う埋蔵文化財の調査で、今月遺構が見つかった。同大学校から委託を受けて9月末まで調べる予定。市は8月26日、発掘現場で説明会を開く。(仁科裕成)

 現場は同大学校内のアスファルトや芝生が敷かれた広場の一角で、巨大な工場跡の一部に当たる約700平方メートル。7月末から掘削を開始し、土の中からコンクリートの柱などが見つかった。市が旧海軍遺構の発掘調査をするのは、灰ケ峰にある気象庁のレーダー観測所の敷地内に次いで2例目という。

 市などによると、工場は近くの三ツ石山を削って造った埋め立て地に1931(昭和6)年、「砲熕(ほうこう)部第二十二工場」として建設された。35(昭和10)年ごろに砲弾の信管の製造や弾薬の装塡(そうてん)などを担う同工廠火工部の施設になった。

 米軍による空襲被害を免れ、戦後は民間企業の工場になった後、同大学校が改修し学生寮として活用。老朽化のため、79年に解体された。市文化振興課は「呉には地面の下に重要な歴史の痕跡が残されているということを、この機会に実感してほしい」としている。

 説明会は26日午前10~11時、午後2~3時の計2回。無料。担当する市職員が工場の歴史や発掘状況を紹介する。同日開催される同大学校のオープンキャンパスの参加者か、事前申し込みをした人が対象。24日までに市文化振興課に電話やメールで申し込む。同課☎0823(25)3463。

(2023年8月21日朝刊掲載)

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