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広島からの発信 核廃絶への力に 谷本清牧師長女 被爆者近藤さん 「人から人へ伝えて」 西区で講演

 原爆孤児の救済や被爆女性の治療支援に尽くした広島流川教会(広島市中区)の谷本清牧師(1909~86年)の長女で、被爆者の近藤紘子(こうこ)さん(78)=兵庫県三木市=のトークイベントが19日、広島市西区の泉美術館であった。亡き父の活動を振り返り「広島から声を発信し、核廃絶の実現を」と訴えた。(小林可奈)

 近藤さんは生後8カ月で、爆心地から約1・1キロで被爆した。父の活動を通じて原爆孤児やケロイドを負った女性たちの苦しみを知り、幼い頃は「敵を討つ」との思いを抱いたと吐露。後に広島原爆を投下した米軍のB29爆撃機エノラ・ゲイ号の副操縦士に出会い、交流を通じて心境が変化した体験を振り返った。

 近藤さんは父と共に、米国人ジャーナリストのジョン・ハーシーのルポ「ヒロシマ」に登場している。原爆投下9カ月後の広島に入り、世界にいち早く被爆の惨状を発信した作品の意義に言及。対話と交流を重んじた父の生きざまを振り返り、「時間がかかるかもしれないが、人から人へ伝えることが一番強い力になる」と語り、核廃絶に向けた広島からの発信を呼びかけた。

 被爆前後の広島の姿を多彩な資料で伝える同館の特別展「広島の記憶」(中国新聞社など主催)の関連イベントで、約100人が聴講した。特別展は27日まで。月曜休館。

(2023年8月20日朝刊掲載)

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