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被爆者対策費に1174億円 厚労省概算要求 対象者減り14億円減

 厚生労働省は25日発表した2024年度予算の概算要求に、被爆者の援護対策費1174億円を盛り込んだ。被爆者の減少に伴い、23年度当初と比べて14億円減った。

 一定の病気にかかると支給する健康管理手当(月額約3万5千円)は427億円で、23年度当初比3億円減った。原爆症と認定された被爆者への医療特別手当(同14万5千円)は246億円で同2億円減。

 20年度から続ける「黒い雨」の援護対象区域(大雨地域)の再検証には23年度当初と同じく1億7千万円を要求した。

 被爆建物・樹木の保存には引き続き5千万円を投じる。旧陸軍被服支廠(ししょう)(広島市南区)の耐震化は文化庁が国重要文化財としての財政支援を検討しており、盛り込んでいない。

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(南区)の広島大霞キャンパス(同)への移転費用は対策費と別枠で確保した。25年度の利用開始に向けた建設費で、金額は非公表としている。

 厚労省の概算要求総額は33兆7275億円で23年度当初比5866億円増。高齢化に伴う社会保障費の伸びは政府全体で5200億円と見込む。

 質の高い医療・介護を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に166億円を計上。マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、金額を明示しない事項要求とした。人口減少と高齢化を見据えた地域の医療機関再編には922億円を充てる。(樋口浩二)

(2023年8月26日朝刊掲載)

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