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被爆タイル アートで未来へ 中区 「中電話局鎮魂の碑」そばに住民ら設置 

拓本に「光」や「笑」 児童らの46字刻む

 広島市中区袋町にある被爆タイルを組み合わせた原爆慰霊碑「広島中電話局鎮魂の碑」のそばに、碑の拓本を基にしたアート作品ができた。商店主や住民でつくる「中一区187号線地域活性化委員会」が、平和への思いなどを込め設置した。

 アルミ板をビニールで覆った縦0.9メートル、横2.5メートルのパネル。安佐北区の版画家向井陽子さん(43)が制作した。地元の袋町小児童や住民たちが広島の未来をイメージして書いた「光」「笑」などの漢字46文字を拓本にちりばめた。慰霊碑の被爆タイルは原爆の熱線で赤黒く変色しているが、作品では青空を連想する青と白を配色した。

 旧広島中電話局では209人が被爆死。1985年に旧局舎屋上の被爆タイルを使って慰霊碑が建立された。活性化委は碑に着目することで一帯を活気づけようと昨年12月にワークショップを開き、作品にちりばめる漢字を募った。碑を管理するNTT西日本の協力を得て今月6日、NTT袋町ビル外壁に設置した。

 活性化委の藤田善洋会長(61)は「通りに慰霊碑があるのを知らない人も多いが、原爆で多くの犠牲者が出た過去があって未来につながっている。平和を願う住民の思いを発信したい」と話す。(根石大輔)

(2023年8月29日朝刊掲載)

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