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被爆の惨状 次世代に 広島を舞台に口伝隊朗読劇 下関で2日 講話や合唱も

 原爆投下直後の広島を舞台にした井上ひさし作の朗読劇「少年口伝隊一九四五」の上演が9月2日、下関市竹崎町の市民会館である。公募に応じた10~70代の市民たち約20人が演じる。6年前に市に移住した俳優の金子達さん(79)が被爆の惨状を次世代に伝えるとともに、市民の文化活動を活発にしたいと企画した。

 被爆で新聞発行ができなくなった中国新聞社の「口伝隊」としてニュースを口頭で市民に伝える少年たちの姿を描く。照明や音響はプロが担うが出演は高校生や会社員、定年退職した人たち。半数以上は舞台経験がない。5月から週1回、演出家の下で練習してきた。

 東京出身の金子さんはテレビドラマや舞台で活躍。核兵器の恐ろしさを伝えるレイモンド・ブリッグズ作の絵本「風が吹くとき」を読んだことをきっかけに、各地で内部被曝(ひばく)に関する朗読をしてきた。市に移住後も原爆を題材にした芝居に取り組み、今回初めて出演者を募った。

 当日は市在住の被爆者2人の講話、合唱団による美空ひばりさんの反戦歌「一本の鉛筆」などの披露もある。金子さんは「被爆者が少なくなる中、風化を防ぎたい。市民の出会いと交流の場になれば」と話す。

 金子さんが代表を務める朗読と演劇のグループ「夾竹桃(きょうちくとう)の会」の主催。午後2時からと6時からの2回公演。手話通訳がある。一般前売り千円、当日1500円、高校生以下無料。専用フォーム(31日まで)や市民会館の窓口などで予約・購入できる。同会kyotiku902@gmail.com (山下美波)

(2023年8月31日朝刊掲載)

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