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被爆樹木の笛 東欧で共鳴を 中区・千田小児童らの「パンフルート合唱隊」 来月 国際青少年音楽祭に出演

 広島市中区の千田小の児童や卒業生でつくる「千田パンフルート合唱隊」が9月中旬、東欧のセルビアやルーマニアである国際青少年音楽祭に出演する。奏でるのは被爆樹木で作った木管楽器のパンフルート。戦火の傷痕が残る東欧で平和への思いを共有しようと、仕上げの練習に励んでいる。(小畑浩)

 出演するのは小中高生たち18人。中区での週1回の練習では、「翼をください」「アメイジング・グレイス」などの楽曲を歌声と優しい音色で響かせる。「しっかり息を吐き切って」「歌の意味を意識して」。元千田小教諭の島本裕充代表(65)=安佐南区=の指導も熱を帯びる。

 パンフルートは、長さの違う管を横に連ねた木管楽器だ。合唱隊は2011年に結成。15年から校庭で枯死した被爆樹木カイヅカイブキから作ったパンフルートでの演奏も始めた。

 今回は初の海外での舞台になる。セルビア北部のノビサド市では、旧ユーゴスラビア時代のコソボ紛争で空爆された工場跡に設けられる野外ステージに立つ。ノートルダム清心中3年為清友紀さん(14)=中区=は「戦争のつらさを知る人が多い場所だからこそ、被爆地で育った私たちの奏でる音色から伝わるものがあるのでは」と思い描く。

 現地の音楽学校の生徒との共演では、千田小卒業生が作詞・作曲した「アオギリのうた」や現地の民謡を日本語やセルビア語、ルーマニア語などで一緒に歌う。島本代表は「平和を願う気持ちはどこの国の人にもある。言葉や文化の壁を乗り越え、手を取り合って生きていこうという思いを分かち合いたい」と願っている。

(2023年8月31日)

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