戦争体験 両親の「青春」 「回天」の島育ちの姉妹 絵本出版
23年9月4日
旧日本軍の特攻兵器「回天」の訓練基地跡が残る周南市の大津島で生まれ育った姉妹が、両親から生前伝え聞いた戦争体験をまとめた絵本「戦時のアヲハル」を自費出版し、市内の小中学校と図書館に寄贈した。
姉の松本千恵子さん(73)=同市大津島=が文、妹の古城美保子さん(68)=同市扇町=が「大津美子」の名前で絵を担当。父の古城博さんのシベリア抑留中の生活を描いた「シベリアあの時、黒パンとこげた大豆」、母の香根子さんが挺身(ていしん)隊として海軍工廠(こうしょう)で働いた時の出来事をまとめた「おこげをください」の2話を収めた。戦争の悲惨さとともに、食べることの大切さを説いている。
博さんは69歳、香根子さんは80歳で亡くなった。タイトル「戦時のアヲハル」には、どんなに過酷でも懸命に生きた時代は両親にとって「青春」だったとの意味を込めた。博さんは戦争について口を閉ざしていたが、娘が孫を連れて訪ねるうちに、子どもたちのために語らなければと思うようになったという。
姉妹は約20年前、両親の話に基づく紙芝居を大津島の文化祭で披露した。ロシアによるウクライナ侵攻を機に改めて平和の大切さを訴えようと絵本の出版を決意。クラウドファンディング(CF)や知人の支援も受けて300部作った。
A4判28ページ。市立の全小中学校40校と全6図書館に計50部を寄贈。CF支援の返礼品として200部を充てた。市役所であった贈呈式で松本さんは「戦争になればいや応なしに庶民が巻き込まれる。普通の生活の大切さを知ってほしい」と話した。(満井満)
(2023年9月4日朝刊掲載)
姉の松本千恵子さん(73)=同市大津島=が文、妹の古城美保子さん(68)=同市扇町=が「大津美子」の名前で絵を担当。父の古城博さんのシベリア抑留中の生活を描いた「シベリアあの時、黒パンとこげた大豆」、母の香根子さんが挺身(ていしん)隊として海軍工廠(こうしょう)で働いた時の出来事をまとめた「おこげをください」の2話を収めた。戦争の悲惨さとともに、食べることの大切さを説いている。
博さんは69歳、香根子さんは80歳で亡くなった。タイトル「戦時のアヲハル」には、どんなに過酷でも懸命に生きた時代は両親にとって「青春」だったとの意味を込めた。博さんは戦争について口を閉ざしていたが、娘が孫を連れて訪ねるうちに、子どもたちのために語らなければと思うようになったという。
姉妹は約20年前、両親の話に基づく紙芝居を大津島の文化祭で披露した。ロシアによるウクライナ侵攻を機に改めて平和の大切さを訴えようと絵本の出版を決意。クラウドファンディング(CF)や知人の支援も受けて300部作った。
A4判28ページ。市立の全小中学校40校と全6図書館に計50部を寄贈。CF支援の返礼品として200部を充てた。市役所であった贈呈式で松本さんは「戦争になればいや応なしに庶民が巻き込まれる。普通の生活の大切さを知ってほしい」と話した。(満井満)
(2023年9月4日朝刊掲載)