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原爆が奪った命描く 資料館 常設展示入れ替え

 原爆資料館(広島市中区)は、被爆者が描いた原爆の絵の常設展示「絵筆に込めて」の作品を入れ替えた。原爆が奪った命を題材にした水彩画や版画の全6点を来年2月12日まで紹介する。被爆者の脳裏に焼き付いて離れない「あの日」の体験を伝える。

 2人の幼子を抱えたまま焼かれた母親、はいつくばって息絶えた乳児…。校舎の下敷きになった児童の手を握る絵には、作者が「助けてあげられなくてごめんなさい」との言葉を添え、叫び声を聞きながら火の手を逃れた経験を振り返っている。

 神奈川県藤沢市から訪れた会社員佐藤弘章さん(44)は「家族を想像するとつらい。必死に生きようとした様子も伝わる」と見入っていた。

 原爆資料館は原爆の絵約5千点を所蔵。2019年4月の本館リニューアル時に常設展示を始め、半年ごとに入れ替えている。(宮野史康)

(2023年9月5日朝刊掲載)

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