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作家ヘッセの平和観学ぶ 福山の記念館で30日講演 住民ら企画「戦争続く今こそ知って」

 「車輪の下」や「少年の日の思い出」で知られるノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセ(1877~1962年)について学ぶ講演会が30日、福山市御幸町のホロコースト記念館である。2度の世界大戦の時代を生きたヘッセの生涯や平和への思いを知ってもらおうと、同市加茂町の元図書館司書早川邦夫さん(70)が同館と企画。ヘッセ直筆の絵も展示する。

 早川さんとヘッセの作品の出合いは中学生の時。国語の教科書に載っていた車輪の下の主人公の悩みや葛藤を知り、共感と感銘を覚えたという。社会人になってからも著作を愛読し、愛好家や研究者でつくる「日本ヘルマン・ヘッセ友の会/研究会」に入会した。

 ヘッセは第1次世界大戦中から反戦を唱え、ナチス・ドイツ政権下では「好ましくない作家」とされ母国ドイツでの出版ができなくなった。心の傷の癒やしに移住先のスイスで絵を描き始め、平和をテーマにした詩や小説を創り続けた。

 早川さんは「青春期の葛藤を描いた作品が注目されがちだが、ロシアによるウクライナ侵攻が続く今こそ、平和への信念を貫いたヘッセの後半生も知ってほしい」と話す。

 講演会は午後2時から、定員50人で無料。同会の山本洋一会長がヘッセの作品やナチズムにあらがった姿勢などについて解説。オンラインでも配信する。早川さんが集めたヘッセの水彩画2点や書簡集を12~30日に同館で展示する。申し込みは同館☎084(955)8001。(原未緒)

(2023年9月5日朝刊掲載)

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