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首相、露の早期撤退主張 G20開幕 首脳宣言採択

 日米欧の先進国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)首脳会議が9日、インド・ニューデリーで開幕した。2日間の日程で、初日は岸田文雄首相が主張する「核兵器の使用・威嚇は許されない」との表現を盛り込んだ首脳宣言を採択した。首相は会議でロシア軍のウクライナ侵攻を「昨年のG20首脳会議で大半の首脳が非難したにもかかわらず今も続いている」と強調し、早期撤退を求めた。(ニューデリー発 山瀬隆弘)

 ロシアのプーチン大統領は欠席し、ラブロフ外相が出席した。岸田首相はウクライナ侵攻が「G20の協力の基盤を揺るがしている」と指摘。「一日も早く部隊を撤退させ、平和を実現することが重要だ」と訴えた。他の首脳からもウクライナ侵攻に対する発言があった。

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出にも言及。理解を求めるとともに、日本の水産物の輸入を一時的に停止した中国を念頭に「一部の国が突出した行動を取っている」と批判した。

 主要テーマである世界経済については「困難が深刻化している」との見方を示した。ウクライナ侵攻で食料安全保障が脅かされているとの観点から「持続可能で強靱(きょうじん)な食料システムの構築に取り組みたい」と述べた。世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく貿易体制の重要性も唱えた。

 首脳宣言は昨年あった「ウクライナ侵攻を強く非難」という直接的な言葉がなくなった。新たに盛り込まれた、昨年の議論を「想起しつつ」との言い回しに、ロシア非難の思いが込められているという。この日は、約50カ国・地域が加盟するアフリカ連合(AU)のG20参加にも合意した。首脳会議は10日までで、岸田首相は世界銀行や国連を改革する必要性も主張する方針でいる。

(2023年9月10日朝刊掲載)

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