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海外から研修相次ぐ HICARE 核使用に危機感

 広島県や広島市でつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)による、海外の医療関係者の研修が相次いでいる。本年度は約30人が参加予定で、新型コロナウイルス禍前と同水準まで戻った。緊迫化する世界情勢を受け、参加者は核兵器使用への危機感を強めている。

 11日は、韓国の看護師や放射線技師たち5人が3日間の日程で県内での研修を開始。初日は広島大霞キャンパス(南区)で原爆放射線医科学研究所(原医研)の広橋伸之教授(放射線災害医療)から、東京電力福島第1原発の事故を例に緊急被曝医療の教訓を学んだ。

 一方で広橋教授は、核攻撃への被害想定の資料も示し「現在の原子力災害への医療体制は核攻撃に対して無力だ」と指摘。参加した蔚山大病院の救急救命士河賢(ハヒョン)さん(31)は「核兵器使用へ十分な対応ができるか、不安がないと言えばうそになる」と話していた。

 HICAREは従来、年間約30人の研修を実施しているが、新型コロナの流行に伴い20、21年度は中止した。22年度の秋から再開し、23年度は米国や韓国、ブラジルから受け入れる。(宮野史康)

(2023年9月12日朝刊掲載)

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