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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 脈々と続く新聞人の魂

 被爆地広島のカメラマンとして、取材・制作の現場を志す後輩の学生に話してもらえませんか―。ゼミの合宿で広島市を訪れる大阪芸術大、住田功一教授の依頼を引き受けた。

 「原爆と中国新聞」をテーマにした。きのこ雲の下で全焼した旧中国新聞本社ビル。壊滅直後から取材活動を始め、新聞の発行再開を目指したこと…。元社員の証言映像や手記などで往事を振り返り、「あの日」を身近に考えてもらえたようだ。

 被爆当日を切り取った元本紙カメラマンの故松重美人さんの写真から脈々と続く原爆、平和報道。高齢化する被爆者の証言や、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で原爆慰霊碑前に各国リーダーが集まった場面までを伝えた。「新聞人の魂に触れたよう」。学生たちの真剣なまなざしが心に焼き付いている。(映像担当・天畠智則)

(2023年9月15日朝刊掲載)

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