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米軍機騒音 旭中を防音工事 25年度浜田市 国が負担見込み

天井に吸音材 窓改修も

 浜田市は、米軍岩国基地(岩国市)などの軍用機の飛行によるとみられる騒音の記録回数が多い同市旭町で、旭中の防音工事を始める。国が工事関係費用をほぼ全額負担する見込みで、島根県内では初の事例となる。(黒田健太郎)

 本年度から設計を進め、2025年度に着工する。1年以上かけて天井に吸音材を入れ、窓を防音サッシに変更。窓を閉めることが多くなるため、空調の更新や新設をする。工事中は仮設校舎で授業する可能性が高いという。

 工事費などは計4億6600万円を見込み、基本設計費600万円以外は国からの補助で賄う予定。市は開会中の市議会定例会議に基本設計費を含む23年度一般会計補正予算案を提出している。

 旭町は米軍の訓練空域「エリア567」内にある。低空飛行とみられる騒音で「騒がしい街頭」に相当する70デシベル以上を22年に388回記録。前年比1・9倍に急増した。旭中から市教委には「授業がまったく聞こえない」「騒音や振動に恐怖を感じた」といった報告が80回上がっている。

 中国四国防衛局は22年12月、市など県西部5市町の要望を受け、旭中で音量を調査。国が防音工事代を補助する基準の回数、頻度以上の騒音を確認した。市は米軍機の目撃情報や騒音の苦情が相次いだことを受け、11年に市旭支所へ独自に騒音測定器を設置。他市町と連携し国へ対応を求めてきた。

 市教委教育総務課の藤井陽子課長は防音工事について「大きな一歩。小学校やこども園など、ほかの施設も補助対象になるよう働きかけを進めたい」としている。

70デシベル以上927回 2番目ペース 1~7月 県西部

 県西部5市町で発生した米軍機によるとみられる騒音の回数は今年、最多だった2022年から約3割減で推移している。ただ、過去2番目となるペースで、浜田市旭町では1割増えている。

 県や国などのまとめによると、1~7月、5市町12カ所で「騒がしい街頭」に相当する70デシベル以上を927回観測。前年同時期(1358回)に比べ32%減ったが、旭町では215回から233回に悪化し、21年1年分(207回)を既に超えている。一方、例年騒音発生が多い益田市匹見町は389回から155回へ減り、半分以下に。邑南町日和は15%減の237回になった。

 現在のペースで騒音回数が増えれば、5市町12カ所の合計は2番目に多かった14年の1394回を超える。浜田市防災安全課は「全体は減っているが、依然多い」としている。(黒田健太郎)

(2023年9月16日朝刊掲載)

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