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兵器用核物質の禁止を呼びかけ 首相「条約早期交渉を」

 岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、米ニューヨークで兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関する会合に出席した。核兵器の原材料となる物質の生産を禁じる条約の必要性を説き、「われわれは今こそFMCTを必要としている」とスピーチ。制定を目指して、早期の交渉開始を呼びかけた。(ニューヨーク発 山本庸平)

 首相は核兵器の現状について「冷戦期以来、初めて核兵器数の減少傾向が逆転しかねない瀬戸際に立っている」と指摘。中国や北朝鮮、ロシアを念頭に「特定の国による核戦力の急速な増強は、他の国をも巻き込む核軍拡競争に火をつける可能性がある」と危機感を示した。その上で、核兵器を量的に制限し、世界的な減少傾向を維持すべきだと訴えた。

 会合は1993年に国連で条約化を求める決議が採択されて30年になるのに交渉すら始まらない現状を受けて、日本、フィリピン、オーストラリアが共催。米国やイギリス、フランスといった核兵器保有国の政府高官も参加した。

(2023年9月21日朝刊掲載)

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