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核なき世界「可能な理想」 首相会見 経済対策 来月集約 衆院解散「今考えず」

 訪米中の岸田文雄首相は20日(日本時間21日)、ニューヨークで記者会見し「人間の尊厳が尊重される平和で安定した国際社会の実現には核軍縮・不拡散が喫緊の課題だ」との認識を強調した。核兵器のない世界を「到達可能な理想」と表現し、核保有国を含む各国の関与を得る取り組みを進める考えを示した。(ニューヨーク発 山本庸平)

 前日の国連総会一般討論演説に続いてロシアによるウクライナ侵攻を批判し、「到底容認できない」と断じた。ロシアが国連安全保障理事会常任理事国であることを念頭に「拒否権の行使は最大限自制されるべきだ」と訴えた。国連改革を訴える日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国グループ(G4)の枠組みなど各国と意思疎通を図って具体案を積み上げる努力をすると述べた。

 国内の新たな経済対策を巡っては、骨格となる柱立てを来週前半に閣僚へ指示し、10月中に取りまとめると明らかにした。物価高対応▽賃上げと投資拡大の流れの強化▽人口減少を乗り越える社会変革▽国民の安全・安心―を中心にすると説明。財源の裏付けとなる2023年度補正予算案を「適切な時期に国会に提出する」とした。

 衆院解散に関する質問には「先送りできない問題について新体制の下で一意専心、取り組む。今はそれ以外は考えていない」と述べるにとどめた。

 首相はウクライナ情勢に関する安保理の会合にも参加した。ロシアによる核威嚇やベラルーシへの核兵器配備を厳しく非難。「国連憲章の原則に基づき、包括的、永続的なウクライナの平和を実現させることが不可欠だ」と唱えた。

一意専心
 「他に心を向けず、一つの物事に集中すること」を意味する四字熟語。中国の古典「管子」に由来する。仕事や学業で目標達成を目指す際に使う例が多い。大相撲の若ノ花(後の横綱3代目若乃花)は、1993年の大関昇進伝達式で「一意専心の気持ちを忘れず」との口上を述べた。岸田文雄首相は昨年の安倍晋三元首相の国葬で読んだ弔辞で、安倍内閣の外相を務めた自身の経験を「(外交に)一意専心取り組むことができたことを一生の誇りとする」と振り返った。

(2023年9月22日朝刊掲載)

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