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原爆投下責任 議論「棚上げ」 広島市、姉妹公園協定で

 広島市の平和記念公園と米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定を巡り、市は21日、米国の原爆投下責任に関する議論を現時点で「棚上げ」し、未来志向で対応するとの見解を明らかにした。被爆地には米国の投下責任を問う声が根強くあり、波紋が広がっている。

 市議会の一般質問で、協定により米国を免罪するのかと問われ、市民局の村上慎一郎局長が答弁。「協定は、原爆投下に関わる米国の責任の議論を現時点で棚上げにし、まずは核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという市民社会の機運醸成を図るために締結した」と述べた。

 また前段では「和解の精神」に言及。「あくまで、現時点では責任の議論は双方で棚上げにし、二度と戦争の惨禍を繰り返すべきではないという考え方を確認し、未来志向に立って対処していく」とも説明した。

 市側の唐突な「棚上げ」表明に対し、広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(81)は「多くの命を奪った原爆被害を考えると、棚上げするのが正しいとは断言できない」と困惑した。「協定を生かし、双方が核兵器のない方向へ協力するのが一番良い」と話した。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(78)は「なぜ棚上げするのか理解できない」と批判。「戦争の終結が分かっていたのに原爆を投下した米国の責任は不問にできない」と訴えた。

 姉妹公園協定は、5月に市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機に米国側が市へ打診。6月29日に結んだ。(野平慧一、宮野史康)

(2023年9月22日朝刊掲載)

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