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「核兵器の恐怖 繰り返さない」 駐日英国公使参事官のスミス氏

 駐日英国公使参事官のヘレン・スミス氏が広島市を訪れ、中国新聞のインタビューに応じた。初の被爆地開催となった5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を振り返り、参加国が合意した核軍縮文書「広島ビジョン」を「英国の核軍縮へのコミットメント(関与)の表れだ」と強調。「英政府には、核兵器による恐怖と苦しみを繰り返さないとの思いが本当にある」と語った。

 スミス氏は広島サミットを巡り、日英首脳会談で防衛や経済での協力強化を掲げた成果文書「広島アコード(合意)」をまとめたことを評価。「広島は日英関係史にも刻まれた」と強調した。

 サミット閉幕の翌日にスナク首相が下院で広島訪問の報告をしたことにも言及した。首相は「核兵器は二度と使われてはならない」と述べ、ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃参加を「必要な限り、ウクライナを支援するとのメッセージを強く発信できた」と評したという。

 スミス氏は一方、核軍縮の具体策を巡って「核なき世界への道は一つ。核拡散防止条約(NPT)の下、段階的に多国間の軍縮を進めることだ」と主張。これを「現実的措置」とする英国の従来姿勢を崩さなかった。

 今回の訪問は、英国のサイバーセキュリティー団体と連携する一般社団法人サイバー・ヒロシマ(中区)の初会合への出席が主な目的。スミス氏は日英の両組織の協力を「広島アコードの内容にも添う」と歓迎した。自身が大学在学中の2001年に初めて広島を訪れた体験にも触れ、「原爆資料館の展示は私の人格形成に影響した。外交官を志すきっかけの一つになった」と明かした。(編集委員・田中美千子)

(2023年9月25日朝刊掲載)

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