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核軍縮はライフワーク 首相帰国 「防衛力強化は成果」 安保・物価高 政権正念場

 岸田文雄首相は22日、国連総会出席などのために訪れていた米ニューヨークから帰国した。現地日程の締めくくりは金融関係者に向けた講演。構造改革で海外からの投資を増やす考えを示し、被爆地広島選出の政治家として核軍縮・不拡散を「ライフワーク」としていることも説明した。(山本庸平)

 ニューヨーク経済クラブでの講演で「経済が政権運営の基本の柱」と強調。資産運用業の海外からの参入を促す特区を創設する構想を語った。

 具体的には、行政手続きが英語だけで済むビジネス環境や、子どもが通うインターナショナルスクールといった生活環境の整備を重点的に進めるという。

 外交についても言及した。核軍縮・不拡散を「ライフワークの一つ」と述べる一方、防衛力の抜本強化も自らの政権運営の成果に挙げた。

 19日に日本をたった首相はニューヨークで国連総会に出席。さらに兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の制定機運を高める会合などでも発言し、世界的な核軍縮議論の促進を目的に、海外の研究機関やシンクタンクに30億円を拠出する計画も説いた。

 国連総会での一般討論演説では、核軍縮の「主流化」という言葉を2回用いた。背景にある首相の思いについて、外務省関係者は「核軍縮を重要な事柄として、世界中であらゆる機会に考えてもらいたい」と代弁する。ロシアによるウクライナ侵攻などで世界の安全保障環境が不安定化する中、日本のトップとして各国の理解をどう得るか。実行力が問われる。

 内においても、国民生活を苦しめる物価高という課題に直面する。「日本経済は正念場にある」。米国での記者会見で改めて現状認識を示した首相は来週前半、新たな経済対策の取りまとめを閣僚に指示する。

 この難局をどう乗り越え、どんな政策で国民の信頼を得るか。10月4日で発足2年を迎える政権もまた、正念場にある。

(2023年9月23日朝刊掲載)

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