×

ニュース

デザイナー三宅一生さん 米紙に被爆体験を寄稿

 著名な服飾デザイナーの三宅一生さん(71)=広島市東区出身=が14日付の米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿、これまでの沈黙を破って幼年時代の原爆体験を明らかにした上で、オバマ大統領に広島訪問を促した。

 三宅さんはまず、今年4月にオバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」を訴えたのを機に、原爆の生存者として体験を語っていく「個人的かつ倫理的な責務」があると思うに至ったと寄稿の理由を説明した。

 広島に原爆が投下された1945年8月6日は7歳で「赤い閃光(せんこう)を放ち、直後に黒い雲が上がり、人々があらゆる方角に逃げ惑った」様子を目撃。目を閉じると、今でもその瞬間がありありと思い出されるとつづった。母親も被爆し、3年たたないうちに亡くなったという。

 三宅さんはその後、服飾デザインの道に進んだが、「原爆生存者のデザイナー」とのレッテルを張られるのが嫌で「ヒロシマ」に関する質問は避け続けてきたという。

 しかし「世界から核兵器をなくすためには、原爆体験を語っていかなければならないことに気付いた」と指摘。オバマ大統領を8月6日に広島に招く運動があることを紹介し「(大統領が)受け入れることを希望する」と述べた。

(共同通信2009年7月14日配信、7月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ