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社説・コラム

『ひと・とき』 中国放送アナウンサー 中根夕希さん ウクライナの姉妹に共感

 「とにかく無事でいて。心から思っている」。メーンキャスターを務めるテレビ番組「イマナマ!」で先月、生放送中に涙があふれ出た。

 広島市内に約1年間避難していたウクライナ出身のファジリャ・ボロジナさん(20)、マリアさん(19)姉妹に後輩記者と密着し、帰国するまでを追った。カープ観戦へ行ったりトルコ料理を食べたりして友情も育んだ。「ひたむきに頑張る姿を見て大切な存在になった」と打ち明ける。

 福岡市出身だが、母方の祖母は17歳の時に広島市中心部で被爆し、かろうじて命をつないだ。姉妹を通し「ウクライナの今」と78年前の広島が重なって見えたという。「突然、日常を奪われる恐ろしい戦争が21世紀になっても繰り返されている」

 父親の転勤に伴い5~7歳を米国で過ごした。帰国後も英語力を維持し、国境を超えた問題意識を抱く。9日午前9時55分から1時間の番組「ファジリャとマリア」が放映される。「遠い国の話ではない。将来を悩む2人の姿や、わが子をどう守るか葛藤するお母さんの言葉に共感してほしい」と願っている。(桑島美帆)

(2023年10月6日朝刊掲載)

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