ヒロシマ講座参加 各紙に思索の跡
23年10月9日
西日本新聞 平和学習 尽力するNPO取材
新潟日報 広島訪れた高校生の同行ルポ
広島市が全国から地方紙記者を招き、取材成果を広く報道してもらう国内ジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」。この夏、参加した各紙の記者が報じた記事が順次、市に届いている。
ことしは北海道から鹿児島まで全国のブロック紙と地方紙10社の23~36歳の10人が参加した。7月28日~8月7日の11日間、被爆者の体験や専門家の講話に耳を傾け原爆資料館などを見学。市の被爆者援護や平和行政、平和関連行事も取材した。
各紙とも8月6日の平和記念式典に地元から出席した遺族代表や広島で体験の継承に取り組む地元出身者を取り上げ、各地域や「今」に引き寄せた記事が目立った。
西日本新聞の竹添そら記者は、被爆地で平和学習充実に尽くす九州出身のNPO法人スタッフらを取材。南日本新聞の寺師周平記者は、ガイドや研究、記憶の継承など、それぞれにヒロシマと向き合う鹿児島県出身者たちの横顔をつづった。
新潟日報の袖山小百合記者は、広島を訪れた新潟市の敬和学園高の生徒に同行しルポ。広島の被爆者で敬和学園大(新潟県新発田市)で教えた女性史研究者加納実紀代さん(2019年に死去)にも光を当て、広島に市民有志が仮開設した加納さんの資料室などを紹介した。
静岡新聞の伊藤龍太記者はロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢を踏まえ、被爆地で出会った市民の活動や声を特集。静岡県内の市町から平和記念式典に派遣された小中学生の姿も追った。
自らの体験を語る被爆者が少なくなる中、次世代がいかに被爆の実情に迫り、自分の問題としていくのか。記者たちの思索の跡がうかがえる。(森田裕美)
(2023年10月9日朝刊掲載)