原爆ドーム説明 当初は首相 広島サミット 情報公開請求で外務省開示 市長に交代の理由明かさず
23年10月12日
広島市で5月にあった先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、松井一実市長が務めた原爆ドーム(中区)の説明役は当初、地元選出でサミット議長の岸田文雄首相が担う予定だったことが11日、分かった。外務省は、原爆ドームが市の管理施設であることを挙げ「市長の説明が自然」とするが、交代の理由については明らかにしない。
中国新聞による外務省への情報公開請求で開示されたサミット関連文書で明らかになった。平和記念公園(中区)での行事計画に関する4月段階の文書には「総理より各国首脳に原爆ドームの説明」と記していた。
外務省幹部は取材に対し「市の管理する施設で結果的に市長の説明は自然」と答えたが、それ以上は説明しなかった。
開示された文書は21種類で全142ページ。「(原爆)慰霊碑献花・集合写真(10分)」など、G7首脳の滞在予定時間を記しているが、原爆資料館については時間の部分が黒塗りで開示された。
G7首脳が実際に原爆資料館を見学したのは約40分だった。2016年に訪れたオバマ米大統領(当時)の4倍だが、市はサミットで約1時間の滞在を外務省に働きかけていたことが、これまでに明らかになっている。
外務省はサミットの準備段階から「各国との関係」を理由に原爆資料館関連の秘密保持を徹底してきた。開示文書からはバイデン米大統領の動線や警備を重視し、米政府と打ち合わせを重ねたこともうかがえるが、黒塗り部分が目立った。(樋口浩二、秋吉正哉)
(2023年10月12日朝刊掲載)
中国新聞による外務省への情報公開請求で開示されたサミット関連文書で明らかになった。平和記念公園(中区)での行事計画に関する4月段階の文書には「総理より各国首脳に原爆ドームの説明」と記していた。
外務省幹部は取材に対し「市の管理する施設で結果的に市長の説明は自然」と答えたが、それ以上は説明しなかった。
開示された文書は21種類で全142ページ。「(原爆)慰霊碑献花・集合写真(10分)」など、G7首脳の滞在予定時間を記しているが、原爆資料館については時間の部分が黒塗りで開示された。
G7首脳が実際に原爆資料館を見学したのは約40分だった。2016年に訪れたオバマ米大統領(当時)の4倍だが、市はサミットで約1時間の滞在を外務省に働きかけていたことが、これまでに明らかになっている。
外務省はサミットの準備段階から「各国との関係」を理由に原爆資料館関連の秘密保持を徹底してきた。開示文書からはバイデン米大統領の動線や警備を重視し、米政府と打ち合わせを重ねたこともうかがえるが、黒塗り部分が目立った。(樋口浩二、秋吉正哉)
(2023年10月12日朝刊掲載)