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あすから平和首長会議 未加盟2市長インタビュー

 「核兵器のない世界」を目指して活動する平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の国内加盟都市会議総会が18、19の両日、兵庫県姫路市で開かれる。全市区町村のうち1739市区町村(1日時点)が加わっており、残るは2市。うち京都府八幡市の堀口文昭市長(71)にオンラインで、長崎県佐世保市の宮島大典市長(60)に書面で今後の加盟の考え方を聞いた。(宮野史康)

安保は国 必要感じず

八幡市の堀口市長

―八幡市が平和首長会議に加盟しない理由は。
 必要性を感じない。安全保障は国の権限。国できっちり考えてほしいし、そのために国政がある。市に安全保障を考える担当者もいないし、私の能力も超えている。責任を持って参加できない。だが、首長会議の活動は立派だと評価する。

 ―一方で、非核平和都市宣言をしていますね。
 市の平和施策は後退させていない。戦後70年を経て2016年には戦争体験の記録集を出している。市として核廃絶を訴えるべきところはしないといけないが、実際の政治を見た時、私は一歩引かせてもらいたい。

 ―市長は核兵器禁止条約を支持しますか。
 核兵器禁止条約は望ましいが、米国や中国、ロシア、北朝鮮など核兵器保有国が放棄するのか。実効性の問題がある。国際政治の現実は国益優先だ。核兵器を誰も放棄しない。

  ―10月末に任期途中で退任後、新市長には首長会議とどう向きあってほしいですか。
 新しい市長が判断することだ。私の立場は押しつけない。

核禁条約 政府が判断

佐世保市の宮島市長

  ―なぜ平和首長会議に加盟しないのですか。
 佐世保市には自衛隊が配備され、在日米軍が駐留しており、基地との共存共生が基本方針だ。市民への影響を考慮しながら、国の防衛政策を積極的に支援している。過去には首長会議への加入を求める請願が市議会で不採択となった。市民の考え方もいろいろで、合意形成できていない現状があり、加盟していない。

  ―加盟の差し障りとなる首長会議の活動はありますか。
 首長会議の取り組みの一つに政府に核兵器禁止条約の早期締結を求める活動がある。条約への参加は、政府が国際情勢を踏まえて判断する。市は意見を言う立場にない。

  ―市長として禁止条約を支持しますか。
 核兵器の究極的廃絶は私たちの願いだ。条約の最終的な目標は共有しているが、私は政府の考え方を理解する。

  ―加盟を促すため、首長会議に必要な対応は。
 首長会議の平和文化の推進は素晴らしい。目標が同じでも手段は複数あることも考慮し、考えが全く同一でない首長の考え方にも理解が必要だ。

平和首長会議
 1982年6月、当時の荒木武広島市長の提唱で広島、長崎両市が前身の「世界平和連帯都市市長会議」を設立。2001年に平和市長会議、13年に現在の名前へ改称した。会長は歴代の広島市長が務めている。国内の市区町村では、23年8月に青森県むつ市が加盟し、未加盟は2市となった。国外からは165カ国・地域の6572都市(1日時点)が加わっている。

(2023年10月17日朝刊掲載)

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