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「あの日」の惨禍 絵筆に託す 被爆者と基町高生 「原爆の絵」制作へ対面

 広島市中区の基町高創造表現コースの生徒たちが16日、新たな「原爆の絵」の制作を始めた。県内の被爆者7人と対話を重ね、来夏の完成を目指す。

 校内であった被爆者との顔合わせに、1、2年生16人が出席。1~6人の7班に分かれ、地図や資料を見ながら「あの日」の惨禍を聞いた。

 初めて絵を描いてもらう伊藤正雄さん(82)=佐伯区=は4歳の時、庚午北町(現西区)の自宅前で被爆した。泣きながら母親の待つ家に戻る場面や、犠牲者が空き地で焼かれる様子を生徒たちの絵筆に託すという。

 担当する2年の石原里緒さん(17)は「見ただけで伊藤さんの気持ちが伝えられるようにしたい」。2年の梶谷友花さん(16)も「世代や国籍の違いを超え、絵を見て、いろいろな人に平和について考えてもらいたい」と力を込めた。

 「原爆の絵」の制作は原爆資料館(中区)が2007年から基町高に依頼。これまでに191点が完成し、被爆者の証言活動や県内外での展示で活用している。(頼金育美)

(2023年10月17日朝刊掲載)

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