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米カーターセンターに鐘楼完成1年 「平和の鐘」深まる絆 甲奴へジョージア州訪問団

正願寺住職らと交流

 ジミー・カーター元米大統領(99)の郷里・米ジョージア州の訪問団が、交流を進める三次市甲奴町を訪れた。かつて甲奴から海を渡った「平和の鐘」をつるす鐘楼が昨夏、同州アトランタ市のカーターセンターに完成し、現地での記念式典には三次の関係者も駆け付けた。それから1年。再会を喜び合い、訪問団メンバーからカーター氏の近況も聞かれた。(林淳一郎)

 鐘楼建設に尽力したジョージア日米協会をはじめ同州の商務省や企業の23人が14日、東京での会議の合間を縫い訪れた。

 平和の鐘は戦時中、甲奴町小童の正願寺から供出された。戦後、英国から米国へ。1985年にカーター氏へ贈られ、91年からの相互交流に結び付いた。2021年に鐘楼建設プロジェクトがスタート。22年8月に完成し、現地時間9月30日の式典には双方の約500人が集って祝福した。

 今回の訪問団は、カーター氏が90、94年に訪れた正願寺へ。同協会のジェームズ・ウィットカム会長(62)たちから鐘楼の絵を贈呈された吉井祥道住職(75)は「さらに交流を深めたい」とほほ笑んだ。

 カーター氏は現在、出身地の同州中西部プレーンズで在宅ホスピスケアを続ける。同協会の前会長、ジェシカ・コークさん(47)によると、9月下旬に地元イベントへのサプライズ参加が報道されたという。「平和の鐘には奥深いドラマがある。鐘楼ができて多くの人が関心を寄せてくれるようになった」と話す。

 甲奴町本郷のジミー・カーターシビックセンターで歓迎会もあり、住民や市職員30人余りが迎えた。昨秋の式典にも出席した福岡誠志市長は「ジョージア州とのつながりをより一層大切にしていく」と強調。ウィットカム会長も「三次との間には永遠に失われない絆がある」と力を込めた。

(2023年10月17日朝刊掲載)

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