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アオギリ植樹の輪 映画に 国内外に根を張る 平和への思い発信

木の下で証言続けた被爆者と親交あった中村さん

 国内外で植樹が広がる平和記念公園(広島市中区)の被爆アオギリをテーマにしたドキュメンタリー映画の製作が進んでいる。監督した中村里美さん(59)=東京都町田市=は「種や苗木を植えた人たちが託した平和への思いを伝えたい」と期待し、2024年春の全国公開を目指している。(和多正憲)

 タイトルは「いのちの音色」。約100分の作品を予定し、公園内の被爆アオギリの下で証言を続けた被爆者の故沼田鈴子さん(11年に87歳で死去)のメッセージから始める。死後もアオギリの種や苗が受け継がれ、米国や日本各地で2世が根を張っていく様子を伝える。

 シンガー・ソングライターでもある中村さんは13年、親交のあった沼田さんをモデルにした映画「アオギリにたくして」を製作した。沼田さんがアオギリを世界に贈る活動にも力を入れていたことから、約10年間かけて国内外を訪ね、植樹の様子などを記録。沼田さんの遺志を継ぐ人に焦点を当てたドキュメンタリーに仕上げることにした。

 3日に広島市役所で記者会見を開いた中村さんは「すでに撮影を終え、各地で撮りためた映像を編集している。多くの人に見てもらえるように全国で上映したい」と話した。

(2023年10月20日朝刊掲載)

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